2014年11月18日に、トヨタ自動車から正式発表される燃料電池自動車『FCV』。
2014年12月にも販売開始される見通しです。
少し前まで夢物語だったFCVが、こんなにも早く一般販売されるようになるとは、驚きとともに、少し心配にもなってしまいます。
そこで今日は、そんな大注目のトヨタFCV『MIRAI』(ミライ)の、自動車としての魅力に迫ります!
その名はMIRAI(ミライ)
トヨタから発売される燃料電池自動車『MIRAI』。
正式には、11月18日の10時に記者発表会が行われ、その内容は、公式サイトやニコニコ生放送、Ustreamなどでも生中継される予定です。
そこでは、FCV『MIRAI』についてはもちろん、水素インフラを含む、トヨタが描く、来るべき水素社会の全貌が明らかにされるでしょう。
今からとっても楽しみですね!
MIRAIの走行性能は?
MIRAIの特徴は、なんといっても、そのクリーンな環境性能にあります。
⇒ FCVがトヨタから登場&ホンダも参戦!燃料電池自動車とは?
でも、いくら環境に良いと言われても、自動車としての走りがイマイチだったら面白くありませんよね。
FCVであるMIRAIは、燃料電池で発電した電気でモーターを回して走ります。
モーターは、その特性上、停止状態や低回転からでも強い力が得られるため、自動車においても、滑らかで力強い加速が期待されます。
また、これまでもたびたび試乗会などが行われ、その実力の片鱗をみせつけてきました。
その一端をご紹介します。
1. 先進技術説明会
2013年10月8日に東京・晴海で開催された『先進技術説明会』で、報道機関向けにMIRAIの試乗会が行われています。
この時はまだ試作車段階で、外観も唐草模様のようなカモフラージュが施されていましたが、試乗した記者からも、パワフルな加速性能や静粛性など、高い評価を得ました。
2. 東京モーターショー
東京モーターショー2013に『FCVコンセプト』として出展されたMIRAIは、ほぼ現在の外観そのものでしたね。
この時点ではトヨタも『2015年市販』としか言っていませんでした。
それが、開発が加速するにつれ、2014年度内、そして2014年内・・・というように、前倒しされてきています。
発売日延期が日常茶飯事の業界もあるなかで、この開発スピードは本当に驚きですね!
3. たびたび目撃される一般道走行の姿
『マガジンX』などで、たびたびスクープされていますが、一般道も試験走行しているため、都内や愛知県内など、一般の方の目撃情報も多数あります。
外観はカモフラージュされておらず、カラーは、白やシルバーなど色々目撃されているので、何台も試験走行しているのでしょう。
また、海外でも、アメリカやカナダなどで、耐熱、耐寒の厳しい試験走行を行い、完成度を高めています。
4. 首相試乗
2014年7月18日、福岡県にある北九州水素ステーションで、安倍首相がMIRAIに試乗されています。
安倍首相も、MIRAIや水素インフラなどについて、とても前向きなコメントをされています。
5. 大阪マラソン先導車
あまり大きく報道されませんでしたが、2014年10月26日に行われた『第4回大阪マラソン』の先導車を務め、私たちの目の前に、その雄姿を披露しています。
下の動画でMIRAIの登場は、4分3秒くらいからです。
赤いボディカラーがかっこいいですね!
6. 新城ラリー
そして、極め付けがコレ。
2014年10月31日から愛知県新城市(しんしろし)で行われた『新城ラリー』に、なんと、専用のラリー仕様で登場し、競技車よりも先に走行してコースの安全を確認する『00カー』(ダブルゼロカー)という大役を務めています。
ドライバーはなんと、モリゾー選手こと、トヨタ自動車社長の豊田章夫氏。
トヨタの本気が伝わってきますね。
動画では、影山正彦ドライバーによるデモ走行の様子をご覧ください。
雨とぬかるんだ地面という悪条件の中、力強い走りを見せてくれています。
来年は、ぜひ、本戦に参戦して欲しいですね!
また、今回はラリー仕様でしたが、いつかMIRAIが普及すれば、MIRAIのパトカー仕様やタクシー仕様なんていうのも見られる日がくるかもしれません。
このように、たびたび私たちの前に姿を現し、試乗会などでも好評を得ているMIRAI。
特に、新城ラリーでの力強い走りを見れば、乗って楽しくないという心配はまったく不要と言えるでしょう。
MIRAIの静粛性は高級車を超えたか?
FCVであるMIRAIにはエンジンが無いため、それだけで静粛性が期待できます。
しかし、EVと異なり、燃料電池で発電するためには、燃料である水素ガスを送ったり、空気を送ったりする補機を動かす必要があります。
このため、全く音がしないという訳ではありませんが、エンジンを動かすよりは圧倒的に静かであることには変わりありません。
また、プリウスなどのハイブリッド車が、低速ではエンジンを止めてEV同様のモーター走行となるように、FCVも低速では燃料電池の発電を停止します。
このため、逆に静かすぎて歩行者が気づかないなどの危険が考えられるため、プリウス同様の車両接近通報装置の搭載が予想されます。
MIRAIの価格と補助金は?
MIRAIの本体価格は約700万円。これに国や地方の補助金を合わせると、約400~500万円で購入出来る見通しです。
これを、高いとみるか安いとみるかは受けとる人次第ですが、少し前まで1億円とも言われていたことや、最先端技術の結晶であること、開発の想像を絶する苦労や所有するステータスなどを考慮すれば、『お買い得』と考えることもできますね。
官公庁などでは、旧モデルとなる『FCHV-adv』のリースをMIRAIに置き換えていく事も考えられます。
人気は間違いなく出るでしょうから、購入を考えている人は早めに予約すると良いですね。
ただ、我が家ではまだまだ手が出ない値段なので、普及のためにも、一層のコストダウンを進めて欲しいですね。
MIRAIの燃費は?HVより損ってホント?
HVを含むガソリン車やディーゼル車では、燃費は、燃料1リッターあたり何km走ったかを示す『km/L』で表します。
一方、FCVであるMIRAIは、燃料に水素を使用するため、普通に考えれば水素1リッターあたり・・・となるはずですが、液体と違って気体は温度や圧力によって体積が変わりやすいのと、水素1リッターではあまりにも走行できる距離が短いため、単位としては、水素1kgあたり何km走ったかを示す『km/kg』で表します。
ちなみに、水素1kgは、体積に換算すると11,200リッターに相当します。
MIRAIはJC08モードで約700km走行可能とされていますが、水素を何kg充填できるかはまだ公表されていません。
ただし、ヒントはあります。
旧モデルとなるトヨタの燃料電池自動車『FCHV-adv』は、70MPa(メガパスカル)の水素タンク4本で156Lの容量を確保していました。
これは、水素の重さに換算すると約10kgに相当します。
MIRAIの水素タンクは2本なので、単純に考えると10kgの半分で約5kg。
水素5kgで700km走れるという事は、燃費に換算すると、『140km/kg』。
現在の産業界の水素価格が1Nm3(0℃1気圧で1000L)あたり130円程度なので、5kgでは7,280円となる計算です。
水素満タン(満充填)1回7,280円で700km走行・・・
ガソリン車と比較すれば十分な燃費性能ですが、プリウスなどのHVと比較すると、まだ見劣りしてしまいますね。
※あくまでも個人の予想による試算です
しかし、官民一体となって水素社会を目指すために、販売当初は、税制を含めて、HVと同等、もしくは優位となるような施策も期待できます。
また、将来的にも、このような状況にならない限り、FCVの普及は期待できないでしょう。
11月18日の正式発表では、このような内容にも注目したいですね。
まとめ
高い人気が予想され、それに見合う実力を備えたFCV『MIRAI』。
MIRAIの本当のすごさとは、圧倒的な環境性能と走行性能の融合ではないでしょうか。
水素スタンドや本体価格の事を考えると、普及にはまだ数年~数10年オーダーの時間がかかると予想されますが、来るべき水素社会に向けて、間違いなく世界に先駆けた一歩となるでしょう。
そんなFCVが、早く、当たり前に買える世の中になって欲しいですね!